沖縄で最大最古といわれている石獅子(八重瀬町)

富盛の石彫大獅子

富盛の石彫大獅子
富盛の石彫大獅子(八重瀬町)

富盛の石彫大獅子は、ほかの市町村からも知られている村落獅子だ。

伝説によると、富盛の石獅子の近くにある八重瀬岳(今の八重瀬公園あたり)は、強い力がある場所といわれていて、その力のせいで富盛のムラは、たびたび火災が発生したという。

その厄除け獅子として造られたのが富盛の石彫大獅子で、石獅子を置いたところ、火災が止んだということから、ほかの市町村へも厄除け用の石獅子づくりが広がっていったとのことだ。

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占い師なの?沖縄の「ユタ」ってなに?【沖縄の民俗学】

~琉球おきなわ民俗(わが家での場合)~

琉球時代の沖縄の風俗を描いた絵に、ユタらしき人がいることから、ユタはむかしから沖縄で活躍していたことがわかる。

むかしから知られている沖縄独特の卜者

ユタ
琉球時代のユタ

※ イラスト内の画像「国立国会図書館ウェブサイト」より。

ユタとは?

たまにテレビの特集番組にユタが出演していたり、インターネットで検索すると、ユタに関する情報はたくさんあるので、沖縄県民以外でも知っている人は多いようだ。

地元・沖縄ではどのような状況かというと、ほとんどの人がユタを知っていて、一般的に「ユタは、占いを職業としている者」と解釈している人や民俗本が多いように思える。

「占い」というと、手相占いなどいろんな種類があったりするが、ユタはちょっと別格扱いになっていて、霊的能力を備えた者が修行を経て、霊力を使った占いをすると考えられている。

占う方法としては、米粒を使った占いが、むかしは一般的だったようだが、タロットを使ったり、紙に何か文字を書く、地図を使って方位や方角などを基にしていた…と聞いたことがあるので、ユタによって占い方はさまざまのようだ。

占う方法はいろいろあるようだが、ユタが占っている最中については共通している点があって、目に見えない何かから話を聞いていて、それを依頼者に伝えているようだと言う人が多い。

ユタは、ユタ自身の守護神、または依頼者の守護神や先祖霊から話を聞いて、それを基に占いを始めるというから、この独特の方法から霊能力者という位置にいるのかもしれない。

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霊魂には「生霊」と「死霊」がある【沖縄の民俗学】

沖縄の霊魂に関する考え方 その2

~琉球おきなわ民俗学(わが家での場合)~

別の記事で「沖縄の霊魂に関する考え方」の基本的なことを書いたが、今回は霊魂(=マブイ)について、もう少し詳しく書いてみた。

イチマブイとシニマブイ

日本でよく聞く怖い話の類では、幽霊が祟ってでてくることが多い。

その幽霊は、突然現れたと思ったら煙のように消えた…など、物体(肉体)のない霊魂の状態が基本としてあり、これは沖縄でも同じような考え方だ。

「霊魂」にフォーカスをあてると、まず沖縄では魂のことを方言で「マブイ」という。

このマブイは二通りに分けて考えられていて、生きている人の魂は「イチマブイ(=生霊)」、そして死者の魂は「シニマブイ(=死霊)」と区別している。

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金武観音寺と金武宮【金武町の名所】

2020/03/01 記事内に誤りがありましたので削除・修正しました

【削除・修正した内容】
・日秀洞に関する記述
・日秀洞ではない場所を誤って日秀洞と紹介していたため

すでに記事を参考にした方々、勘違いの内容で混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。

琉球八社のひとつ「金武宮」

「安里八幡宮」「天久宮」「沖宮」「金武宮」「識名宮」「末吉宮」「波上宮」「普天間宮」を琉球八社という。

琉球八社は琉球王府の庇護があったこともあり、沖縄県内でも知られていて参拝者も多い。

この記事では「金武宮きんぐう」を紹介している。

金武観音寺
金武観音寺(沖縄県金武町)

金武観音寺は、一度全焼したことがあり再び建築されている。

しかし、沖縄戦の戦火では焼失しなかった貴重な木造建造物で、赤瓦屋敷の沖縄らしいたたずまいに魅力がある。

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沖縄の霊魂に対する考え方【沖縄の民俗学】

~琉球おきなわ民俗(わが家での場合)~

「沖縄の人は、幽霊や妖怪など不思議なことに対して他県より興味をもっている人が多い」
「幽霊がいるって信じている人が多い」
「聖地とか多くて、信仰している人がたくさんいる」

――など、言われたことがある。
沖縄で生活していると「日常」なので気づかないが、そう話す人もいるから、他県とは違うのかもしれない。

そこから沖縄の文化に興味を持ち始めて、「霊魂」に関する記事を書いてみた。

人は「身体」と「魂」が揃ってから本来のカタチになる

沖縄では、人は肉体と魂の二つから成っているという考えがある。

「魂」というと、とらえにくい感じがするが、肉体と精神(または思考)に置き換えれば、わかりやすいかもしれない。

ここまでは「ほかでも聞いたことがある話だな」となるが、沖縄独特と思えるのは、ここから先の考え方だ。

まず、人が生活するには、身体と魂が一緒に行動している状態を健全としている。

ところが、魂というのは驚いたときや精神的なショックを受けたときに、身体を離れてしまうことがあるというのだ。

通常だと、身体から離れた魂は自力で戻ってくるので、再び肉体と一緒に行動するようになり、元の状態へ戻るから過剰に心配することはない。

しかし例外もあって、魂が自力で戻るのが難しかったりすると、魂が身体から離れたままの状態になってしまうことがある。

では、魂が不完全のままだとどうなるのかというと、体調を崩してしまったり、病気になってしまったり。ぼんやりとして心ここにあらずといった状態になったりする。

この魂が身体にちゃんと戻っていない状態を、沖縄では「マブイ(=魂)を落としている」といって、人にはよくない状況としている。

そのため、健全な状態に戻すため「マブイグミ」といって、戻ってこない魂を元の身体へ戻す呪術を行ない、身体と魂を一緒にして、本来の形に戻すようにする、ということが今でも行われている。

とくに子どもはマブイを落としやすいため、家族は子どもの様子に変わったことはないかと日頃から注意している。

このような考えが日常にあり、ほかの家庭でも同じことを聞いたことがあるので、沖縄では一般的なことと思ってもいいようだ。

マブイ

沖縄のマブイに対する考え方が気になって、沖縄の民俗について書いてある古い本も調べてみた。

すると、古い民俗関連の本のなかにも、同じようなことが書かれていて、むかしも今も沖縄の人たちの霊魂(=マブイ)に対する考え方は変わってないことがわかった。

沖縄にはマブイに関する伝承はいろいろあるので、少しずつ記事にしていく予定だ。

沖縄の方言

マブイ…魂または霊魂。