「動物が飛び出すおそれあり」の警戒標識
沖縄本島北部のヤンバルは、南部や中部と比べると自然が豊かだ。
森が動物たちの生活を守るので、野生動物も多い。
ヤンバルの道をドライブしていると、あちこちで「動物注意」と書かれた黄色の標識を見る。
「動物注意」の標識は警戒標識のひとつで、正式には「動物が飛び出すおそれあり」(214の2)という。
わかりやすく説明すると、道路の標識は国道だと国(=国土交通省)が、県道などは都道府県が設置することになっている。
標識には設置基準があり、イラストなども決まっている。
ところが「動物が飛び出すおそれあり」の標識は、いろいろな動物が描かれていたりする。
標準は「シカ」のイラストのようだが、地域によって生息する生きものが違うので、その土地に合わせた動物のイラストを使用することができるようだ。
沖縄には島独自の生きものがいるが、ヤンバルの道路にある警戒標識には、森に生息している動物たちが描かれている。
いろんな標識を見つけたが、イラストがよくできていたので、どの生きものについて描いたのかを自分なりに調べてみた。
「とび出し注意」ヤンバルクイナ
リアルに描かれている鳥のデザイン。これはヤンバルクイナでしょう。
ヤンバルクイナは国指定天然記念物でヤンバルの森を棲みかにしている。
たまに道路わきでエサを探している姿が目撃されることもある。
飛べない鳥として有名で、道路を横断しているときに、車にひかれてしまう事故が毎年発生している。
「動物注意」リュウキュウヤマガメ
知らない人から見ればただのカメだが、ヤンバルの森には国指定天然記念物のリュウキュウヤマガメがいる。イラストの甲羅の形からモデルはリュウキュウヤマガメと思われる。
道路で遭遇することはめったにないと思うが、カメは歩く速度が遅いので早めに発見して道をゆずって運転しよう。
「カメ注意」
ファニーなカメの標識。
しかも「カメ注意」と書かれていてカワイイ。
知る限りでは、カメをモデルにした標識は二種類あるようだ。
「動物注意」オキナワイシカワガエル
カエルの模様などから、沖縄県指定天然記念物のオキナワイシカワガエルと判断。
カエルは、水辺に生息しているので道路上での遭遇率はきわめて低いと思われる。でも雨の日などにひょっこりと道路にでてくる可能性があるので、運転中は気を付けてもらいたい。
見たことはないが、大きな個体で鳴き声もデカイらしい。
「動物注意」イボイモリ
初めて標識をみたときは、オオサンショウウオかと思ったが、調べてみると沖縄県指定天然記念物となっているイボイモリがモデルと思われる。
イモリというよりトカゲに近い姿をしている。
「カニ注意」
カワイイ感じのイラストなので、カニの種類の特定はできなかった。
沖縄には海だけでなく陸上で生活するオカガニなどがいる。
カニはふだん陸上で生活しているが、産卵のために海へやってくる。
森から海へ行くには、道路を横断しなければならないので、この標識がつくられたと思われる。
◇
標識にはなっていないが、ほかにも貴重な生きものたちの棲みかとなっているのがヤンバルの森。
ヤンバルの道路は植物が茂り、ドライブするにはとても気持ちがいいが、小さな生きものたちがあちこちにいるので、安全運転を心がけたいものだ。
沖縄でみつけた「動物注意」
警戒標識以外にも「動物注意」をうながしている看板があった。
かわいいイラストが多く、ほのぼのしてしまう。
夜間ケナガネズミ注意
おうだん注意 イボイモリ
とびだし注意 ヤンバルクイナ
横断注意 リュウキュウヤマガメ
ブタ飛び出し注意
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標識は目立つように設置されているが、ヤンバルの森の中では木が茂り過ぎて標識が見えにくくなっているところもある。
標識があるところは、動物たちとの接触事故が多いところなので、特に注意して安全運転してほしい。
とび出し注意 ヤンバルクイナ
動物注意 イボイモリとリュウキュウヤマガメ
動物注意 オキナワイシカワガエル
カメ注意
カニ注意
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備考1
ヤンバルは漢字だと「山原」と書く
沖縄本島北部の自然が豊かな地域をまとめてヤンバルということが多いが、ちゃんとした区切りはあいまいな気がする。
開発が進んだ南部や中部とちがって、緑が多く景色が一変する自然スポットだ。
ただし、沖縄には毒蛇ハブがいるので、茂みなどに入るときは注意が必要だ。
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備考2
ヤンバルに棲む生きものたち(抜粋)
ほ乳類
オキナワトゲネズミ、ケナガネズミ、リュウキュウイノシシ
鳥類
ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、カラスバト、ホントウアカヒゲ、ミフウズラ、リュウキュウアカショウビン
両生類・は虫類
イシカワガエル、ナミエガエル、ハナサキガエル、ホルストガエル、イボイモリ、シリケンイモリ、オキナワキノボリトカゲ、リュウキュウヤマガメ、クロイワトカゲモドキ