ガーナー森【那覇市の史跡】

魔物として恐れられていたガーナームイ

那覇市を走るゆいレールの奥武山公園駅から、221号線に沿って東方向へ歩いてくと、那覇大橋を渡る前の右側の少し奥へ入ったところに雑木林がある。

今は林の前に建物があって道路からは見えにくいが、この雑木林が「ガーナー森」だ。

ガーナー森
ガーナー森(沖縄県那覇市)

現在は陸地にあるガーナー森だが、むかしは奥武山公園がある一帯は河口(漫湖)となっていて、奥武山もガーナー森も河口に浮かぶ島だった。

そして、島だったときのガーナー森は「魔物」だったという伝説があちこちに残っている。

ガーナームイの伝説

ガーナームイ
ガーナームイ(イメージ図)

「ガーナー森は、夜になると漫湖から陸地へ上がり、集落の家畜や人を襲ってくるので村人は困っていた。それを見ていた神様は、ある日天から石を投げ、ガーナー森の尻尾を漫湖に押し付けた。これでガーナー森は湖から動けなくなった。村人たちは神様に感謝し、また、ガーナー森を見張る意味もかねて、集落内に石獅子を立てた。」

――このような内容の伝説は、あちこちで聞いたことがあり、話にでてくる石獅子(豊見城市の石獅子「イリヌシーサー」)も実際に存在している。

ガーナー森周辺の地形

現在の風景からはガーナー森のある場所が河口だったとは思えないが、過去の写真や地形などが載っている説明板をみていくと、むかしの情景を想像できる。

説明板(地形)
説明板「奥武山周辺の地形」(沖縄県那覇市)

上の説明板は、「奥武山、小島から現在まで」と書かれていて、壺川駅から奥武山公園方面へ架かる橋に設置されている。

説明板は、奥武山周辺の地形を解説しており、写真や地図などを盛り込んでいる。

年代ごとに地図があるので、ガーナー森の変遷がわかって面白かった。

古地図でみる奥武山周辺

地形(過去)
説明板「奥武山周辺の地形(古地図)」(沖縄県那覇市)

上の古地図によれば、1700年より前の奥武山周辺は、大きな河口(漫湖)だったことがわかる。

現在の奥武山周辺

地形(現在)
説明板「奥武山周辺の地形(現在)」(沖縄県那覇市)

航空写真でみる2002年の奥武山周辺。
漫湖は埋め立てられていて、以前のような広さはなく、川にしかみえないサイズになっている。

ガーナー森のむかしと今

ガーナー森今昔
説明板「ガーナー森の今昔」(沖縄県那覇市)

上の写真がむかしのガーナー森で、下は現在の様子。
見比べると、あまりの変わりように同じ場所とは思えない。

説明板に書かれていた「ガーナー森」の解説

ガーナー森
説明板「ガーナー森」(沖縄県那覇市)

上の写真は奥武山公園沿いにあった説明板。

ガーナー森の紹介もあって次のように書かれていた。

ガーナー森

“昔”は離れ小島だったガーナー森を中国から来た冊封使たちは、その形から「鶴頭山」とよび、周辺は漁舟夕照と詠まれ漁船が夕日に照らされ風景の美しい名勝地でした。
ガーナームイの名は、その小島が、ガーガーとうるさい鵞鳥が棲んでいたのでついたとか、タンコブ(ガーナー)のようだからついたなどといわれています。
また、ナハキハギの群生する最北の地として那覇市の天然記念物に指定されています。


説明板から歴史も学ぶことができるので、奥武山周辺を散策するときは見てみるとより楽しくなるかも。

ガーナー森周辺の地図

現在のガーナー森は一見しただけでは、ただの林にしか見えない。

そのため、訪れたときはガーナー森に気づかなかった。

見つけるコツは周囲を探索してみると説明板があるので、それを目印にするといいかも。

ガーナー森(沖縄県那覇市鏡原町10-11の近く)


ほかにも説明板があったので、紹介していく。

奥武山周辺の文化財の案内板

説明板(文化財)
説明板「奥武山周辺の文化財」(沖縄県那覇市)

もうひとつ説明板があるが、「奥武山周辺の文化財等はこの方向にあるよ」と書かれていて、こちらは奥武山周辺の文化財などを紹介していた。

説明板で紹介されている文化財には、それぞれの「昔」と「今」を写真をつけて解説しているので、こちらもわかりやすくて便利だ。

ガーナー森の説明板

ガーナー森
ガーナー森にある説明板(沖縄県那覇市)

上の写真はガーナー森のとなりにあった説明板で、これを見て雑木林がガーナー森であることに気づいた。

説明板では次のようにガーナー森を紹介していた。

ガーナー森

那覇市指定文化財 名勝・天然記念物
指定 1974(昭和49)年12月2日

むかしの写真を見るとガーナー森は、国場川河口(漫湖)の中にある小さな島でした。現在の国場川河口周辺は大半が埋め立てられてしまい、ガーナー森も地続きになっています。かつて、奥武山からガーナー森にかけての景色は、名勝地として有名でした。
この森にはナハキハギが群落をなして生育しています。ナハキハギは、アフリカ・オーストラリア・インド・東南アジア・太平洋諸島・中国大陸・台湾などに分布するマメ科植物です。沖縄県では、西表島、石垣島、沖縄島などの海岸に生育しています。沖縄島はナハキハギの北限地になっています。

尚敬王の冊封副使の徐保光(1719年来琉)は、那覇港から国場川河口にかけての景色のよさを「漁舟夕照」とほめています。また、尚温王のときの冊封副使李鼎元(1800年来琉)も、2度奥武山に遊びガーナー森を「鶴頭山」と詠んだ詩を残しています。

ガーナーとは、「たんこぶ」のことです。形が似ていませんか。また、ガチョウもガーナーというようです。このガーナー森と真玉橋についての話も残っています。この森は歴史的にも名勝として知られ、ナハキハギの群落のある大切な記念物です。

那覇市教育委員会 平成14年3月設置

観光情報についての参考サイト

■NAHANAVI 那覇ナビ
https://www.naha-navi.or.jp/
→那覇市観光協会のサイト

■那覇市 公式サイト
https://www.city.naha.okinawa.jp/

■おきなわ物語
https://www.okinawastory.jp/
→沖縄観光情報WEBサイト

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