–はじめに–
この話は場所や人物が特定されないように編集した部分もあるが、実際に見聞したことをまとめたものである。
「視える」と「聴こえる」
IとZは同級生だ。
いつも学校で一緒に行動していたが、学校が休みに入ったので、外で待ち合わせをして会っていた。
待ち合わせの場所はだいたい決まっていた。
学生だった二人はカフェなどへは行かず、公園を利用していて、そこでおしゃべりをしていた。
ふだんは、映画の感想やバイト先のことなど、学生特有のたわいのない話が多いが、たまにIは怪談をすることがあった。
Iは不可解な出来事の話や都市伝説、怖い話などが好きで、どこからか話を聞いてきては「こんな話を聞いたよ」と、Zに話したりしていた。
Iは今回もどこからか仕入れてきた怖い話をZに話した。
話が終わって、Iはこう締めくくった。
「やっぱり幽霊が視える人って大変だよね。生活していて見えていたら恐ろしくて耐えられないよ。私は幽霊が見えなくてよかった」
ZはIの話をうなずきながら聞いていた。
いつもは「怖い話だね」など、ひと言で終わるのだが、今回は珍しくZはIにこう質問してきた。
「じゃあ、視えるだけと聴こえるだけって、どっちが怖いかな」
そして次のように話し出した。