【世界遺産】斎場御嶽~セーファウタキ~(南城市)

沖縄で最高の聖地 斎場御嶽

斎場御嶽
斎場御嶽(沖縄県南城市)

斎場御嶽セイファウタキは世界遺産に登録されたことで国内はもとより海外からも多くの来訪者が訪れる観光名所となっている。

沖縄で最高峰の聖地なので、りっぱな建築物があると想像するかもしれないが、そういうものは存在しない。

沖縄ではむかしから森や岩などの自然を神体として信仰するアニミズムの思想があり、聖地には神社の拝殿のような建物はほとんどない場合が多く、斎場御嶽も自然そのものに近いため、建築物を期待して行くと拍子抜けするかもしれない。

多くの人が訪れる観光名所となったが、斎場御嶽は今でも信仰されている聖域なので襟を正して訪れたい場所だ。

斎場御嶽のようす

斎場御嶽
世界遺産 斎場御嶽(沖縄県南城市)

斎場御嶽は、かつては限られた人しか入ることができなかったが、現在では一般にも公開されている。

重要な箇所には説明板を設置して概要を知ることができるように配慮されていて、初めて訪れる人に対して親切な施設となっている。

斎場御嶽についての説明板があり、次のように紹介されていた。

斎場御嶽
「御嶽」とは、奄美諸島から宮古・八重山にいたる南西諸島に広く分布している聖地の総称です。
斎場御嶽は、琉球王朝時代に王府が整備した国家的な宗教組織との関連が深く、格式の高い祭祀場でありました。せーふぁ(霊威の高い聖なる場所)の名前が示すように、巨岩や聖樹に囲まれた空間には、首里城内にある部屋名と同じ拝所があり、当時の王府と斎場御嶽の関わりの深さを見ることが出来ます。
琉球最高神女である聞得大君の、就任儀礼「お新下り」の御名付けがこの地で行われたということは、王権を信仰面・精神面から支えていた証でもありましょう。
現在でも、聖地巡拝の習慣を残す東御廻りの聖地として、参拝客は跡を絶ちません。

御門口

斎場御嶽
御門口と石畳道(斎場御嶽)

斎場御嶽は木々に囲まれているため、整備される以前は森のようだったが、現在は訪れやすくなった。

御嶽に到着するとまずは入口となる「御門口」があり、そこから奥へと進んでいく。

足場が悪い場所もあるため注意をうながす看板も立てられていた。

むかしは御門口までしか行くことができず、この先は限られた人しか入ることができなかったが、今では一般の人でも奥へ行くことができるようになった。

御門口の説明板があり次のように紹介されていた。

御門口ウジョウグチ
斎場御嶽の入口で、神社でいえば拝殿にあたる所です。琉球最高の御嶽ゆえに、ここから入場できるのは王府関係者に限られていました。右側には、御嶽内にある六つの拝所を示す香炉が置かれ一般の人々はここで御嶽の中に向かって拝みました。

御門口から聖地の奥へ

沖縄最高の聖地といわれている斎場御嶽は、木々に囲まれていてとても気持ちが和らぐ。

歩いていると花のいい香りが漂ってきてさわやかな気分になれた。

民話で「聖地では木を切ってはいけないし、何も持ち帰ってもいけない」という話をよく聞くが、沖縄でも同じように言われているので注意しよう。

大庫理と寄満

斎場御嶽にはあちこちに神聖な場所があり、それぞれに案内板が設置されているため概要を知ることができるからありがたい。

大庫理と寄満については次のように書かれていた。

大庫理ウフグーイ
首里城正殿の二階は大庫理と呼ばれ、祭祀的な機能を持つ格式の高い場所です。聞得大君のお新下り儀式での「お名付け(霊威づけ)」儀礼が、首里城と同じ名前を持つこの場所でとり行われたのは、その名にふさわしいことと言えましょう。前面にある磚敷きの広間では、神女たちが聞得大君を祝福し琉球王国の繁栄を祈りました。

寄満ユインチ
寄満とは首里城内にある建物の名前で、国王のために食事を作る厨房を指します。当時、ここには国内外からの海幸・山幸が集まりました。それが、「豊穣の寄り満つる所」と理解されていったのでしょう。同じ名前を持つ斎場御嶽のこの場所には、第二次世界大戦前まで、その年の吉兆を占う馬の形をした石(うまぐゎーいし)が置かれていました。

三角岩とその周辺

斎場御嶽
三角岩(斎場御嶽)

沖縄では森や岩などを神体としていることが多いが、斎場御嶽もその類で拝所となっている三角岩は神秘的で神々しかった。

三角岩の近くは複数の拝所があり、それぞれに案内板があった。

三角岩
自然岩や洞穴に囲まれたこの場所には、いくつもの拝所が集まっています。正面に見える三角形の空間の突き当たりが三庫理、右側がチョウノハナの拝所で、いずれも首里城内にある場所と同じ名前を持っています。また、左側からは太平洋と久高島が遠望できます。
さて、三角岩の右側には、「貴婦人様御休み所」と二本の鍾乳石が見えます。滴り落ちる水はその下に置かれた壷に受けられ、それぞれが中城御殿(国王の世子)と聞得大君御殿の吉兆を占うとともに、お正月の若水とりの儀式にも使われる霊水でした。

鍾乳石から落ちる聖水を受ける二つの壷(シキヨダユルアマガヌビーとアマダユルアシカヌビー)に三角岩はとくに神秘的だ。

四角い石は聖地に置かれる香炉

沖縄の拝所へ行くと四角い石のようなものが置かれているが、これは香炉(線香を置いたりする)なので、ぶつからないように注意しよう。

斎場御嶽にあるチョウノハナと三庫理には木札が立てられていて、次のような説明が書かれていた。

チョウノハナ
この香炉は、琉球最高の神女「聞得大君」と関係があると言われています。
触れることはご遠慮ください。 /沖縄県南城市教育委員会

三庫理サングーイ
御嶽の最も奥にあるこの下には、金製勾玉などが鎮められていました。
触れることはご遠慮ください。 /沖縄県南城市教育委員会

斎場御嶽からの出土品

斎場御嶽
斎場御嶽の出土品(沖縄県南城市)

斎場御嶽からは沖縄の民俗を知る手がかりとなる出土品もある。

そのなかに勾玉もあるようだが、勾玉は神職の祝女(ノロ)と関連のあるものとして知られている。

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久高島遥拝所

斎場御嶽
斎場御嶽(沖縄県南城市)

琉球時代は神の島といわれている久高島へ国王が自ら訪れていたが、後世は島へは行かなくなった。

久高島遥拝所の案内板には次のように紹介されていた。

久高島くだかじま遥拝所ようはいじょ
琉球王国の絶対的な存在である国王はまさに太陽であり、その太陽のあがる方向にある久高島は、東方楽土ニライカナイへの「お通し(遥拝)」所として沖縄各地で崇拝されています。
琉球王国時代の久高島遥拝所は御門口下方にありますが、いつしかこの場所が遥拝所として定着したことを受け、南城市としても保護しているものです。 /沖縄県南城市教育委員会

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斎場御嶽内のていねいな説明文

琉球時代、斎場御嶽は王族関連の祭祀場所であったため、庶民は足を踏み入れることはなく、神秘のベールに包まれていた。

現在は一般の人も訪れることができるようになったが、地元の人でも斎場御嶽の詳細はわからないことだらけだったので、説明板はとても勉強になった。

下の6枚の画像は、「お新下り」という祭祀について説明している。




休日だと斎場御嶽には大勢の人がやって来るので、ゆっくりと見て回りたいなら平日がおススメだ。

また聖地は自然そのものとなっているため、雨の日だとカサは必需品で、足場が悪くなる可能性もあるから用心したほうがいい。

斎場御嶽の基本情報(2018年)
・開館時間…3~10月 09:00~18:00(11~2月は17:30まで)
・入館料…おとな300円
・休館日…年2回あり

※駐車場と入場券売り場は少し離れた場所にある

入手した斎場御嶽のリーフレットと入場券

斎場御嶽
斎場御嶽リーフレットと入場券(沖縄県南城市)

リーフレットには斎場御嶽の全体図や概要などが書かれていて、興味深い内容だった。

沖縄には独特の文化があるため、単語の読み方や意味がわからないものもあったが、リーフレットに用語解説がついていたため役に立った。

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斎場御嶽周辺のMAP

斎場御嶽
(入場券の販売場所…沖縄県南城市知念字久手堅539)

■斎場御嶽までの距離(車の場合)
・南城市役所…約 9.51km(15分)
・那覇空港…約 27.0km(47分)
・沖縄県庁…約 21.7km(40分)

観光情報についての参考サイト

世界文化遺産 斎場御嶽
公式サイト

らしいね南城市
南城市の観光ポータルサイト

南城市観光協会

南城市
公式サイト