【沖縄の民俗学】沖縄で行われている拝所巡礼ってなに?

家庭ごとに異なる拝所巡礼

斎場御嶽
斎場御嶽から見える久高島(沖縄県南城市)

一時期、聖地めぐりなるものが日本の各地でブームになり、観光ガイドブックに聖地といわれているスポットを紹介したものが目立ったのを覚えている。

似たようなことは昔からあるようで、七福神めぐりや札所めぐりというものが該当すると思う。

沖縄ではブームではなく、風習として先祖にまつわる場所などをめぐる行事があり、家庭ごとに訪れる場所は決まっている。

でも多くの人が共通して巡礼している聖地もあり、南部では「東御廻りアガリウマーイ」、北部では「今帰仁上りナキジンヌブイ」が有名だ。

今回は、東御廻りと今帰仁上りを簡単に紹介する。

南部をめぐる東御廻り

玉城城跡
玉城城跡(沖縄県南城市)

まずは南部にある聖地を巡る「東御廻り」。

東御廻りは那覇市・与那原町・南城市にある聖地14か所を指し、次のようになっている。

  1. 園比屋武御嶽(那覇市)
  2. 御殿山(与那原町)
  3. 親川(与那原町)
  4. 場天御嶽(南城市)
  5. 佐敷上グスク(南城市)
  6. テダ御川(南城市)
  7. 斎場御嶽(南城市)
  8. 知念城跡(南城市)
  9. 知念大川(南城市)
  10. 受水・走水(南城市)
  11. ヤハラヅカサ(南城市)
  12. 浜川御嶽(南城市)
  13. ミントングスク(南城市)
  14. 玉城城跡(南城市)

もともとは琉球時代の王族が行う儀式だったけど、いつしか庶民も行うようになったという。

ちなみにわが家では、東御廻りの聖地すべてをめぐらず、ゆかりのある聖地だけを訪れている。

今帰仁村内をめぐる今帰仁上り

今帰仁城跡
今帰仁城跡にある御嶽「火の神」

次に今帰仁村にある聖地をめぐる「今帰仁上り」。

今帰仁上りは東御廻りのように定説として場所は定まっていないようで、調べていくと異なる聖地が出てきたりした。

どうやら信仰する家庭ごとに異なるようなので、今帰仁村のWebサイトで紹介されていた拝所を紹介することにした。

今帰仁上りは今帰仁村を中心とする聖地巡礼となっていて、以下の14か所をめぐる。

  1. カラウカー(今帰仁城跡)
  2. 火の神の祠(今帰仁城跡)
  3. テンチジアマチジ(今帰仁城跡)
  4. ソイツギ(今帰仁城跡)
  5. クバの御嶽
  6. 阿応理屋恵ノロ殿内跡
  7. 今帰仁ノロの火神跡
  8. 供のカネーノロ殿内跡
  9. 今泊の親川
  10. 今帰仁ノロ殿内
  11. 今泊の津屋口墓
  12. 諸志の赤墓
  13. 中城ノロ殿内
  14. 池城墓

今帰仁上りは、世界遺産に登録されている今帰仁城跡内とかつてムラだった地区で聖地として祀っていたところがそのまま拝所となっているようだ。

拝所巡礼に対する考え方

末吉宮
琉球八社のひとつ末吉宮(沖縄県那覇市)

各家庭が行う聖地巡礼は、先祖崇拝という形で行うといわれている。

わが家の場合も先祖に関係する拝所を巡礼しており、東御廻りの一部やうるま市の勝連あたりにあるゆかりの拝所、そして那覇市内に点在している拝所へ足を運ぶ。

拝所へ到着すると、現在の子孫たちが先祖への感謝を伝えたり近況報告を行うのが基本で、たまにお願い事もしているようだ。

アニミズム文化が残る沖縄は先祖崇拝の信仰が強く、今でも各家庭に伝わる行事・儀礼を尊重して、時が来たら行事を執り行っている。

しかし、だんだんと廃れつつあるようで、独自の行事があることを知らないという人も増えてきた。

時代の変化で生活様式が変わってしまうのは仕方がないことだが、文化や民俗を知る上で貴重だ。

私が調べたり体験したことがほかの人の資料になるかもしれないので、情報をまとめたら記事にしていこうと思っている。

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