ひんぷんガジュマル
名護市には大きなガジュマルがある。
その木は「ひんぷんガジュマル」と呼ばれていて、市内にある道路の真ん中に立ち、車道が木を避けるような形で走っている。
不便なようにも感じるが、この巨木は国指定天然記念物となっていて、昔からの名物だ。
1970年頃のひんぷんガジュマル
わが家にあるスクラップのアルバムにも、1970年頃と思われるひんぷんガジュマルの写真があった。
1970年当時からかなり大きなガジュマルだったことがわかる。
2016年現在のひんぷんガジュマル
大きなガジュマルなので、台風による倒木の危険性が出てきたこともあり、剪定と支柱の設置などが行なわれたらしい。
訪れたときのひんぷんガジュマルは、鉄柱に支えられつつも、元気な姿を見ることができた。
ひんぷんガジュマルの幹
ガジュマルは成長していくと気根が伸びてくるが、気根の数が増えて成長していくと、精霊が宿りそうな雰囲気が出てくる。
その様子からか、沖縄ではガジュマルはキジムナーが棲む木という伝説があったり、聖域となっている場所もあったりする。
名護市のひんぷんガジュマルも地元の拝所のひとつとなっているようだ。
- 気根
枝などから出てくる根。伸びる様子が髭に似ていたので「ヒゲ」と呼んでいた。 - キジムナー
沖縄の民話などに出てくる妖精(または妖怪)で、「木の精」だという言い伝えもある。
ひんぷんガジュマルのとなりには小さな公園があった。
公園には、ガジュマルについての説明板が設置されていて、次のようなことが書かれていた。
名護のひんぷんガジュマル
通称:ひんぷんがじまる/国指定天然記念物 平成9年9月2日指定
「ひんぷん」とは屋敷の正門と母屋との間に設けられた屏風状の塀のことで、外からの目隠しや悪霊を防ぐものといわれます。乾隆15年(1750年)具志頭親方蔡温は、当時の運河開通論と王府の名護移遷論議を鎮圧するため、三府龍脈碑を建てました。この石碑がひんぷんのように見えることから「ヒンプンシー」と名付けられ、その隣に生育するガジュマルもいつしか「ひんぷんがじまる」と呼ばれるようになりました。
ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)はクワ科の常緑高木で、屋久島以南の亜熱帯から熱帯にかけて分布し、沖縄では屋敷林、緑陰樹として広く植栽されています。漢名は榕樹で、幹はよく分岐して枝葉は四方に繁茂し、垂下する気根は地上に降りて幹となり広く美しい樹冠をつくっていきます。
ひんぷんがじまるは、推定樹齢280年~300年、樹高19m、胸の高さでの幹周囲は10m、樹冠の広がりは長いところで直径30m、堂々とした容姿は市のシンボル、そして街のひんぷんの役割を担っています。
ひんぷんがじまるの得意な景観は古くから衆目の的になり、写真におさまる周辺の様子で街の移り変わりを知ることもできます。名護の街の移り変わりを見てきたひんぷんがじまるは、まさに「市民の木」です。
※文化財の現状を変更したり、保存に影響を及ぼす行為は、条例および法律で禁じられています。
平成12年(2000年)3月 名護市教育委員会
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珍しい場所にある巨木「ひんぷんガジュマル」は、ユニークな存在だが、ガジュマルだけ見学に来たのではちょっと物足りないかもしれない。
近くに「名護博物館」があるので、時間に余裕があるなら、訪れてみるといいかもしれない。
名護のひんぷんガジュマル周辺のMAP
名護のひんぷんガジュマル
(所在地 沖縄県名護市城2-4)
■ひんぷんガジュマルまでの距離(車の場合)
・名護市役所…約 1.44km(02分)
・那覇空港…約 67.8km(1時間40分)
・沖縄県庁…約 63.5km(1時間31分)
観光情報についての参考サイト
■名護市役所
公式サイト