木に五寸釘を打つのはなぜ?【沖縄の民俗学】

ガジュマルのキジムナー封じ

都市景観資源
崇元寺公園のガジュマル(沖縄県那覇市)

祖父母の家の庭にはガジュマルがあった。

幼い頃、そのガジュマルに登って遊んでいたが、ガジュマルには大きな釘が打ってあった。

その釘は五寸釘といえばサイズがわかりやすいかもしれない。

釘はガジュマルの幹に深く打ちこまれていて、子どもの力では引き抜くことはできなかった。

小さい頃は気にならなかったが、ある程度の年齢になると、なぜ木に釘を打っていたのか不思議に思うようになった。

まずは両親に、庭のガジュマルに釘が打たれているのはなぜかを尋ねてみた。

しかし両親はガジュマルに釘が打たれていたことすら気づいておらず、釘を打っている理由も知らなかった。

次に祖父に尋ねてみたところ、「ガジュマルにはキジムナーがいるから出てこないように木に釘を打つんだよ」と答えが返ってきた。

これまでそういう風習を知らなかったから驚き、うちには変わった風習があると思っていたが、調べてみると「キジムナー封じ」といわれていて、むかしからあったようだ。

私の周りではキジムナー封じを知る人が少なかったことから、現在はあまり知られていない沖縄の伝承で、今後はさらに知っている人が減っていくだろうと思った。

  • ガジュマル…クワ科の常緑樹。
  • キジムナー…沖縄に伝わっている妖怪。木の精霊ともいわれてる。
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むかしから語られているキジムナー

わが家でのキジムナー封じのようす

  • 誰がキジムナー封じを行ったのかは不明
  • ガジュマルの幹に五寸釘のような大きな釘が打ちこまれている
  • 2cmくらい離れた場所にもう一本、つまり合計2本打たれていた

キジムナー封じがされていたガジュマルだが、枯れてしまったので今はもうない。

ガジュマルは生命力が強い木なので、枯れてしまったと知ったときは驚いたが、キジムナー封じをしたことが原因なのだろうか。