第六感的な雑談
本人は認めないが「コイツ、霊感あるだろ」って友人がいる。
怖い話や不思議な話が好きでこの友人にしつこく質問していろんな話を聞いてきたが、一人で溜めこんでいたら人に話したくなったので、ここでちょろっと公開。
友人から見るとこういう世界らしい。
霊_視えないもの
「あのさ、霊ってよく見るの?」
いきなり何?
見えないよ。
でも、たまに気配のようなものは感じることがある。
「気配?」
んー…たとえば本を読んでいたり、映画を見ているときとか集中していても周囲の人の動きってわかるでしょ。
背後を通ったとか席を立ったとか。
たまにそんな気配を感じることがあったりはする。
「それって近くに誰かいたからじゃない?」
それならはじめから話題にしない。
自分以外に誰もいない場所での体験だから話したんだよ。
「そ、そっか。 き、気のせいだったんじゃない?」
そうだね。
だいたいはそうとらえている。
「『大体』? なにそれ? スルーできない場合もあるの?」
気配だけなら気のせい扱いにしているけど、ニオイがする場合は少し動揺する。
「は? ニオイってなに?」
なんだろ、体臭とか生活臭っていうのかな。
人に付いているニオイ。
わかりやすく言えばタバコを吸う人だと、服からタバコのニオイがするとか、コーヒー飲んだ人だとコーヒーの香りがするとか。そういうの。
誰もいないはずなのに人の気配がしてニオイまで漂ってくるとさ、さすがに変だなーと思った。
「・・・あのさ、霊感あるでしょ?」
(一般の人はそんな体験したことねーよ!)
霊_視てしまった
「あのさ、霊っぽいの見たことある?」
んー… (遠い目をした沈黙)
「あるんだ!? なに? どんなの??」
・・・よくわからないもの。
「は? どゆこと?」
たぶん、人の形をした霊のことを聞きたいんでしょ。
でも人型はあまり見ないよ。
「え? 霊って人じゃないの?」
だから言ったじゃん。
よくわからないものって。
「人じゃないなら一体何を見たの?」
黒いモヤのようなものだよ。
「黒いモヤ??」
黒い煙って言ったほうがわかりやすいかも。
丸い形だったり霧状になった不自然な黒いもの。
その黒いモヤが近くにいる人を見かけたことはある。
「えっ? えっ? 近くにあるとヤバイの??」
知らない。
正体がわからないから。
でも嫌な感じがするから見えたときはあまり近づかないようにしてる。
「黒いモヤってどんな感じでいるの?」
なんだろ…人に付いているっぽい。
人の背後に黒い霧状のものがぼんやりとあったり、肩あたりに丸型の黒いものがふわりと浮かんでいたりとか。
近くにいるけどぴったりくっついているわけではなく、少し離れた位置で付いてきているように見える。
黒いモヤはさ、ただいるだけで何かしているようには見えない。
それが不気味なんだよね。
「・・・あのさ、霊感あるでしょ?」
(正体がわからねーものほど怖いもんはねぇ!)
霊_ヒト
「あのさ、『人型はあまり見ない』って言ってたじゃん? あまりってことは一度は見たことはあるの?」
あー… まぁ……
「なに、そのあいまいな返事は」
気のせいだったかもって思っているから。
「なにその状況! 教えてよっ」
写真撮るのが趣味なの知っているよね。
旅先でさ、電車の写真を撮ろうとしたことがあるのよ――
目的地まで行くのに電車を使った。
田舎の路線で遅い時間だったこともあって電車に乗った時点で乗客は数名、停車駅での利用者も少なく車両内はすいていて静かな車内だった。
降りた駅は最終駅だったので次の発車まで停車時間がある。そこで車両の写真を撮ろうと思い、乗客が全員降りるのを確認してから電車を降り、ほかの乗客がいなくなるのを待ってからホームでカメラをかまえた。
すると窓越しにシートに座っている青い服を着た人が見えた。
勝手に写真を撮ると失礼だからと思い、車両の写真を撮るのはあきらめて改札へと向かってて、ふと思い出した。
乗客が全員降りるのを確認して最後に電車を出たので誰もいなかったはず。
それに気づいて、あれ?ってなったけど、振り返って確認する気にはならなくてそのまま改札を出た。
あれは全員が降りた後に、誰かが乗ってきたってことにしてる。
「・・・(絶対ちがうな…)」