今もむかしも憩いの場を提供 仲間樋川

水道が普及していない時代は井戸や湧き水が人々の生活を支えていた。
湧き水は地域の人たちの手によって整備され、共同の資産として大切に使われてきた。
浦添市の仲間樋川もそのひとつだ。
大きな湧き水は涼しげな音を奏でる。仲間樋川

浦添グスクの近くにある仲間集落。ここは民家が立ち並ぶごくふつうの住宅地だけど、その中に湧き水が存在している。
湧き水は「仲間樋川」と呼ばれており、むかしから地域の人たちに大切にされている場所だ。
住宅地の中にあるというので小さいと思っていたけど、けっこう大きくて驚いた。
それに水量も豊富で辺りはとても涼しくて心地よかった。
仲間樋川はきれいに整備されていて、説明板も設置されている。そこに次のように紹介されていた。
仲間樋川 浦添市指定文化財
仲間樋川は市内でも最も大きな井泉のひとつで、仲間集落の村ガー(共同井戸)として大切にされてきました。
「
仲間樋川の樋は大きな琉球石灰岩を削ってつくった大変立派なものです。1731年に首里王府が編纂した「琉球国旧記」には「中間泉(中間邑に在り樋川と俗に曰う)」の記述があり、その頃にはすでに樋が掛けられていたことがわかります。
昭和10年にはコンクリートを用いた近代的な改修が行われ、現在の姿となりました。昼夜湧き出る水は、貯水・飲水用の「水タンク」に溜められ、次に洗濯などをする「平場」を経て、最後は農具や農産物の水洗い、馬の水浴びなどをする「ウマアミシ(溜め池)」に溜まるように造られました。そして、溢れ出た水は苗代田へ注ぐようになっていました。大切な水を飲用水、洗濯用水、雑用水、灌漑用水の順に利用する工夫がみられます。
仲間樋川は沖縄戦でも大きな被害を受けず、戦後は豊富な水量で仲間の収容所に集められた数千人の生活水をまかないました。その後、上水道が普及する昭和40年代まで水を利用するたくさんの人々で賑わいました。
井泉の清浄な水は人の体を育て、健康を保つ特別な霊力(セヂ)をもつと信じられ、人々の信仰対象にもなりました。その証として仲間樋川の樋の傍らには香炉が置かれ、地域の大切な拝所となっています。
現在も旧暦五月・六月のウマチーや十二月の御願解きなどの年中行事の際に、自治会で村拝みがおこなわれています。また、各家庭に水道が普及する以前は、子どもが生まれたときには産水をもらい、正月には若水を汲んで家の火の神や仏壇に供えました。
仲間樋川は人々と水との関わりを知る上で大切な文化財です。
仲間樋川について

仲間樋川 ※近くに公園みたいな広場がある
(所在地 沖縄県浦添市仲間2-44 あたり)
■仲間樋川までの距離(車の場合)
・浦添市役所(浦添市安波茶1-1-1)…約 0.6km(01分)
・沖縄県庁(那覇市泉崎1-2-2)…約 7.68km(19分)
・那覇空港(那覇市字鏡水150)…約 12.09km(27分)
観光情報についての参考サイト
■うらそえナビ
https://www.urasoenavi.jp/
浦添市観光協会
■浦添市 公式サイト
https://www.city.urasoe.lg.jp/
■おきなわ物語
https://www.okinawastory.jp/
沖縄観光情報WEBサイト
